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【政策】経済産業省:太陽光発電の長期安定稼働に向けた議論―PCSと支持物の保安対策が焦点

2025.12.06

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太陽光発電の導入拡大が続くなか、設備の長期安定運用に向けた保安体制の再構築が課題として浮上している。

経産省資料では、電気事故が再エネ電源の中で最も多い太陽光の実態が整理され、事故の中心にパワーコンディショナー(PCS)と架台・基礎などの支持物が位置づけられた。

主力電源化に向けて設備が急増した一方、施工品質や設計・維持管理のばらつきが顕在化し、制度・運用両面での対策が求められている。

太陽光設備の導入量はこの10年で約6倍に達した。令和5年度の電気事故件数では太陽光が最多を占め、約9割が電気工作物の破損だった。

内訳をみるとPCSが約6割、モジュールや架台など支持物が約4割を占める。PCSに関しては、内部部品の劣化による焼損や発火の事例が確認されており、周辺の枯草に引火して延焼が拡大した事故も発生した。

こうした事案を受け、技術基準の運用ではPCS周囲の除草や難燃性シートの敷設を例示し、現場の対応を明確化した。

一方、支持物は風圧や積雪、地震の影響を受けやすく、モジュール飛散による近隣住宅への物損事故も発生している。

構造計算書や設計図面が存在しない案件も散見され、特に小規模事業用の領域で保安管理にばらつきが目立つ。

経産省は新設設備について、工事前に第三者機関が支持物の構造安全性を確認する仕組みを検討する。

大量の案件に対応するため、民間認証制度や標準化の活用も視野に入れる。

既設設備は土砂災害リスクや斜面設置などリスクの高い案件を中心に現地調査を進め、補修方針の策定を促す。

設置者側の保安力向上も重要な論点となる。Web講習会の拡充や保安管理状況調査のフィードバック制度など、事業者支援策を組み合わせる。

スマート保安では、AI解析や画像診断など新技術の妥当性評価を進め、定期自主検査の柔軟化につなげる検討も進む。

軽量で設置形態が多様なペロブスカイト太陽電池に関しては、安全な施工・維持管理の指針をNEDO事業でまとめ、技術基準の解釈に反映する方針。

太陽光が電源構成の中核に位置づけられる未来が示されるなか、長期運用を前提とした設備安全性の確保は避けて通れないテーマとなる。導入量の拡大から、保安の質を高める段階へと軸足を移す動きが鮮明になってきた。

〔参照〕
第32回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会